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高圧電力の電気料金の仕組みとは?
基本料金や契約電力の決まり方についても解説

電力調達脱炭素再エネ太陽光発電省エネ電力コスト削減

法人が利用する高圧電力の電気料金は、その仕組みが家庭用とは異なっています。節電や電力会社の乗り換えを考えるうえで、基本料金や契約電力はどのようにして決まるのか、計算方法やルールをしっかり把握したいと考えている担当者の方も多いでしょう。

この記事では高圧電力の電気料金の仕組みや、基本料金・契約電力の決まり方について解説します。

目次

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高圧電力における契約種別

高圧電力とは標準電圧6kV以上の、主に法人で使われる電力です。高圧電力は「高圧(実量制)」「高圧(協議制)」「特別高圧」の3種類に分類され、それぞれ契約電力が異なります。

高圧(実量制)

高圧(実量制)の契約電力は、原則50kW以上500kW未満、供給電圧は6kVです。主に事務所や飲食店、小売店舗など、中小規模施設に向けた契約です。

高圧(協議制)

高圧(協議制)の契約電力は、原則500kW以上2,000kW未満、供給電圧は6kVです。主に工場や事業所、公共施設など、大中規模施設に向けた契約です。

特別高圧

特別高圧の契約電力は原則2,000kW以上、供給電圧は20kV以上です。国内で使用されている供給電圧は、20kV・30kV・60kV・70kV・140kVがあります。
主に製造工場や高層ビル、病院、複合商業施設など、大規模施設に向けた契約です。

高圧電力の電気料金の構成

ここでは、高圧電力の電気料金がどのような構成になっているのか、見ていきましょう。

高圧電力の計算方法

高圧電力の電気料金は「基本料金」「電力量料金」「再生可能エネルギー発電促進賦課金(再エネ賦課金)」の3つから構成されています。

これら3つを合算したものが高圧電力の電気料金です。このうち「基本料金」は、電気の使用量に関係なく毎月発生する料金です。契約電力や、どれだけ有効に電力を使ったかなどによって決まります。基本料金の計算方法については次の章で解説します。

「電力量料金」は、使用した電力量に対して請求される料金です。「再生可能エネルギー発電促進賦課金(再エネ賦課金)」は、電力会社が再生可能エネルギー電気を買い取る際にかかる費用の一部を、電気を使用するすべての人(需要家)が負担するためにかかる料金です。

これらは各単価に使用量をかけて算出されますが、単価は契約種別やプラン、電力会社によって異なります。

基本料金の計算方法

電気料金の構成要素の一つである基本料金は、下記の計算式で算出されます。

基本料金=基本料金単価✕契約電力✕力率割引・割増(力率による割引・割増の係数)

「基本料金単価」は契約種別と供給電圧に応じて小売電気事業者との契約内容によって定められます。「契約電力」は契約種別によって決定方法が異なります。

「契約電力」の決定方法は、電気の使用実績によって自動的に決まる「実量制」、電力会社との協議によって決まる「協議制」の2種類です。原則として、500kW未満の高圧における契約電力は「実量制」、500kW以上の高圧と特別高圧の契約電力は「協議制」によって決められます。

力率とは、利用者(需要家)に送られた電力のなかで、実際に使われた電力(有効電力)の割合です。「力率割引・割増」は、力率が85%を超える場合に超過%分の基本料金が割引され、力率が85%未満の場合に未達%分の基本料金が割増されます。計算式は下記のとおりです。

力率割引・割増(力率による割引・割増の係数)=1.85-力率(%)/100

よって、割引が最大となるのは力率が100%の場合(100%有効に電力を使用した場合)です。計算式は「1.85-1.00=0.85」で、力率割引・割増(力率による割引・割増の係数)は0.85、割引率は15%となります。

契約電力や力率の決まり方についての詳細は、次の章で解説します。

高圧電力の電気料金における基本料金の決まり方

高圧電力の電気料金における基本料金の決まり方には、いくつかのルールがあります。

契約電力の決定方法(実量制の場合)

当月を含む直近12カ月の最大需要電力のうち最も大きい値が契約電力となる決定方法です。

最大需要電力とは、30分ごとの平均使用電力(デマンド値)のなかで、月内の最も高い数値を指します。

電気を使う設備の同時使用が多いほど数値は高くなるため、節電や省エネを心がけていても、瞬間的に多くの電力を使用してしまうと、契約電力が上がってしまうのです。

上図の例では、1月に最大需要電力70kWを記録していますが、過去11カ月に70kWを上回る最大需要電力80kWを記録した月(前年8月)があるため、1月の契約電力は80kWになります。

同じく当月の最大需要電力が70kWを記録した8月は、過去11カ月に70kWを上回る実績が無いため、8月の契約電力は70kWになります。

このように、同じ最大需要電力であっても過去実績により契約電力が異なります。

注意点として、各月で記録した最大需要電力は12カ月間有効です。デマンド値は30分間ごとに1日48回計測されるため、瞬間的な使用電力量の増加が契約電力に大きな影響を及ぼします。

契約電力の決定方法(協議制の場合)

協議制の場合は、直近の12ヵ月の実績や負荷設備の容量などを加味して、電力会社と利用者(需要家)が協議のうえ、契約電力を決定します。

協議制で契約電力が決まるのは、原則として500kW以上の「高圧(協議制)」と「特別高圧」です。この2つは電力の使用量が大きく、配電用変電所を通さず電力網から直接電力を受け取る施設もあり、停電や不慮の事故による影響が大きいという特徴があります。

よって、電気を使用する設備や受電設備、同じ業種の負荷率など、法人の設備や電力利用の状況を考慮したうえで協議し、契約電力を決めているのです。

力率の仕組みと決定方法

力率は、メーターで測定した8~22時の有効電力量と無効電力量をもとに、月ごとに決定されます。

力率の標準は85%で、通常は電気代の明細書に記載されています。電力会社は、有効電力については電気料金を請求できますが、送電したものの使われなかった電力(無効電力)については請求できません。

このため、電力会社としては、送った以上は有効に電力を使用してほしいと考えています。よって、有効電力の多い利用者には割引、無効電力の多い利用者には割増をすることで、有効な電力使用を促しているのです。

高圧電力の電気料金を削減する方法

高圧電力の電気料金を削減するには、下記のような方法があります。

ピークカットやピークシフト

電気料金を削減する有効な方法には、ピークカットやピークシフトがあります。ピークカットとは、電力使用量が最大になる時間帯の電力使用を抑えることで、全体の電力使用量そのものを抑える方法です。

ピークシフトは、全体の電力使用量はそのままに、電力の使用時間をずらして分散させることで、最大需要電力を抑える方法です。

どちらも、後述する運用改善や省エネにつながる機器の導入により実現可能です。

運用改善

運用改善にはさまざまな方法があり、例として下記のようなものが挙げられます。

  • 使用していない機器や部屋の照明、冷暖房設備のスイッチ・オフ
  • エアコンや業務で使用する機器など起動時に最も電力を使うものは、なるべく電力の安い時間帯に起動する
  • 冷暖房設備の適切な温度設定
  • 自動販売機、冷蔵庫・冷凍庫、複合機などの常に電源を入れておく必要のある機器は、利用する従業員がいない、または少ない時間帯ではセーブモードで運転する
  • 使用していない機器の空運転をなるべくなくす(製造業務用の機器など)
  • フィルタや熱交換器の清掃
  • 機器類の設置環境の見直し
  • 保温や加熱などで利用するお湯は、夜間に沸かしてためておく
  • 電気料金単価の高い時間帯は、自家発電した電気を使用する

いずれもピークカット、もしくはピークシフトに効果のある方法です。思ったほど効果がなかったとしても、結果的には電力の総使用量を削減できます。

これらは電気料金削減の一般的な方法であるため、すでに一部を実施している利用者(需要家)も多いかもしれません。

省エネにつながる機器の導入

省エネにつながる機器の導入も、電気料金の削減につながります。導入コストがかかる場合がありますが、適切な導入により確実に効果が見込める方法です。

また、前の章で紹介した運用改善をする際に必要な場合もあります。省エネにつながる機器や設備には、下記のようなものが挙げられます。

  • 最新機種のエアコンや冷蔵庫・冷凍庫、複合機など
  • 太陽光などの自家発電装置や電気をためておける蓄電池
  • デマンド監視装置やデマンドコントローラー

最新機種のエアコンや冷蔵庫・冷凍庫、複合機などは効率良く稼働してくれるため、電気の使用量を抑えることが可能です。利用の少ない時間帯には自動的にセーブモードで運転するなど、優れた機能を持つものもあります。

ピークシフトに有効な、自家発電装置や電気をためておける蓄電池の導入は、国や地方自治体の補助金を利用できる場合があります。上手に活用すれば、課題となる導入コストを抑えられる可能性があります。

デマンド監視装置やデマンドコントローラーは、24時間デマンド値を監視し、設定した電力使用量を超えた場合、アラートを鳴らしたり、機器の電源をオフにしてくれたりするものです。このため、デマンド値の上昇、ひいては契約電力の増加を抑止できます。

電力会社やプランの見直し

自社の電力使用状況を把握したうえで、より電力をお得に使用できる電力会社やプランに乗り換える方法もあります。

先に紹介した方法は、機器類の導入コストが発生する場合があります。また、従業員全体への周知が必要で、従業員の協力も不可欠です。しかし、この方法ではコストがかからず、担当者の手続きのみで実施できます。いくつか注意点はあるものの、おすすめの方法です。

電力会社やプランの見直しにおける注意点は、次の章で詳しく解説します。

高圧電力の電力会社や電力プランの選び方と注意点

高圧電力の電力会社やプランを見直し、電気料金を削減するには、下記のポイントに気を付けて選ぶことが大切です。

自社の実情に合った電力会社やプランを選択する

高圧電力の電力会社やプランを選ぶ際には、自社の実情に合ったものを選ぶことが大切です。

最も電力消費量が多くなる時間帯や季節の料金単価が安価に設定されているプランであれば、電気料金の削減につながります。自社の稼働率が高くなる時間帯や繁忙期を確認し、電力の使用パターンに合った電力会社・プランを選びましょう。

電力会社の特徴とプラン内容を詳細まで確認する

比較・検討する際は、電力会社の特徴とプラン内容を詳細まで確認することも重要です。基本料金と電力量料金、契約電力はもちろんのこと、燃料費等調整額も重要なチェックポイントです。

その他、契約期間や各社で独自に設定している特別割引や特典で、どの程度メリットが受けられるのか、違約金の有無や発生の条件、電力会社やプランの特徴、電力会社の供給実績なども併せて確認します。

電気料金を構成する項目がどのように設定されるのかを理解し、その内訳について適切に判断できるようにしておきましょう。

市場変動価格の料金プランを選ぶ際は慎重に検討

市場変動価格の料金プランは、市場の動向次第で電気料金が安くなることもあり、契約解除のリスクが少ないといったメリットがあります。

しかし、急激な市場価格の上昇要因があった場合は、電気料金が大幅に高くなってしまうリスクもあるのです。市況価格の大幅な上昇が起こるのは、主に大寒波や燃料の供給制限、長期間の酷暑などで電力供給が逼迫したときです。

近年でも2020年12月~2021年1月にかけて、大寒波とLNG(液化天然ガス)の在庫減少・供給制限により電力供給が逼迫し、電気の市場価格は最高で約6倍にも値上がりしました。

このように、市場変動価格の料金プランは、急な変動要因で電気料金の大幅増となるリスクもあることを念頭において検討することが大切です。

安定した供給と価格で環境に優しいプランも選べる出光興産の高圧電力

低圧と比較して電力使用量が多い高圧電力の契約は、安定した供給が不可欠であり、かつ価格も安定していることが望ましいといえます。ここでは、安定した供給と価格で環境に優しいプランも選べる出光興産の高圧電力をご紹介します。

出光でんき(特別高圧・高圧)

事務所やオフィスビル、学校や病院、工場などで特別高圧、高圧で受電している法人向けの電力プランです。全国で発電所を運営する出光興産だからこその、安定の供給と価格を実現します。

燃料費調整に市場価格調整項を含まない安心の料金体系です。そのため、市場価格連動の料金プランと比較すると、価格が安定しており電気料金の変動を抑えられます。

CO2排出量を抑える低炭素プランもご用意しており、利用者(需要家)ごとの脱炭素ニーズに合わせて4つのプランから選択可能です。

さらに、全国(沖縄と離島を除く)の中小規模施設への供給実績が多数あります。

出光でんき(特別高圧・高圧)

出光でんき Customer Portal Site(CPS)

自社の電気の使用状況を「見える」化できる、出光興産の電気を利用している利用者(需要家)向けの無料Webサービスです。最新の電気料金について、請求書・明細書をダウンロードできます。

リアルタイムの使用情報についても、30分単位あるいは1日単位の使用量推移、時間帯別・曜日別の使用傾向を確認できます。直近24ヵ月の電気の使用実績のダウンロードや、電気料金・その他詳細情報の表示も可能です。

電気料金や電気の使用状況に関するさまざまなデータをすぐに取得できるため、自社の節電対策を考えるのに役立ちます。

また、デマンド値が設定値を超えた場合にメールで知らせてくれるアラート機能もあります。この機能で使用状況を管理できるため、電気の使い過ぎも抑えられるでしょう。

節電プログラム

節電プログラムは、「出光でんき」を利用している方向けのプログラムです。電力供給が逼迫する時間帯に電気の使用量を削減することで、節電実績に応じたインセンティブが提供されます。

実際の運用形式は以下のとおりです。

1.参加申し込み 2.節電依頼 3.参加承諾(高圧以上) 4.節電実施 5.インセンティブの集計 6.インセンティブの還元
  1. 節電実施日の前営業日または当日に、出光興産より節電実施時間帯をお知らせする電子メールが送信される
  2. メール内のリンクから参加を承諾する
  3. 指定時間帯の節電に協力する
  4. 節電に協力した実績(節電量)に応じた金額が、電気料金から値引きされる

参加の申し込みは「出光興産節電プログラム参加申込書」をダウンロードし、申込書に必要事項を記入のうえ、指定のメールアドレスへ返信します。

実際の電気料金削減効果だけでなく、節電へのモチベーションアップにもつながり、節電の効果を最大限に高められるプログラムです。

節電プログラム

高圧電力は電気料金の仕組みを理解したうえでのプラン選びが大切

高圧電力とは標準電圧6kV以上の主に法人で使われる電力です。高圧電力のおもな分類は「高圧(実量制)」「高圧(協議制)」「特別高圧」の3種類で、契約電力とその決定方法、供給電圧はそれぞれ異なります。

高圧電力の電気料金は、「基本料金」「電力量料金」「再生可能エネルギー発電促進賦課金(再エネ賦課金)」「燃料費等調整額」を合算したものが一般的です。各構成要素の単価、契約電力、使用した電力量、有効電力の割合など、さまざまな要因によって決まります。

電気料金削減には様々な方法がありますが、比較的コストや労力がかけずに実現できる、おすすめの方法が電力会社やプランの見直しです。

電力会社やプランを見直す際は、自社の実情に合ったものを選択しましょう。電力会社の特徴とプラン内容を詳細まで確認し、特に市場変動価格の料金プランを選ぶ際は慎重に検討することも大切です。

高圧電力の電気料金は、その仕組みを理解して自社の実情に合ったプランを選択することで、出光でんきだからこそ実現できる、安定した電力調達を提案します。

出光でんきだからこそ実現できる、安定した電力調達を提案します。