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GHGとは?
Scope1・2・3の算定方法と企業の取組をわかりやすく解説

脱炭素再エネ太陽光発電

近年、企業には環境に配慮した事業活動が強く求められています。しかし、「何からはじめればいいのか」「取り組むメリットが不明瞭で手を出しづらい」と感じる担当者や経営層の方も多いのではないでしょうか。
まずは環境経営の指標となるGHGを正しく理解し、現状を把握したうえで効果的な削減策を進めることが重要です。本記事では、GHGの定義やScope1・2・3の違い、具体的な算定方法、さらに、企業が取り組むべき削減のポイントをわかりやすく解説します。

目次

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GHGとは?温室効果ガスの基本と削減が求められる理由

環境経営の第一歩は、対象となるGHGと、なぜこれほどまでに削減が求められているのかを正しく知ることです。まず、GHGの定義など基本知識とGHG削減の効果について紹介します。

GHGの定義と種類

GHGとは「Greenhouse Gas(温室効果ガス)」の略称で、大気中に放出されることで熱を蓄え、地球を暖める性質を持つガスの総称です。
GHGにはさまざまな種類がありますが、「地球温暖化対策の推進に関する法律」では、削減対象として二酸化炭素(CO2)、メタン(CH4)、一酸化二窒素(N2O)、ハイドロフルオロカーボン類(HFCs)、パーフルオロカーボン類(PFCs)、六フッ化硫黄(SF6)、三フッ化窒素(NF3)の7種類が定められています。このうち排出量の割合が最も多いのが、CO2です。

削減が求められる理由

GHG排出量削減が求められる背景として、持続可能な社会の実現と地球環境の保全のためという理由が挙げられます。GHGが増え続けると気温上昇を招き、異常気象や海面上昇、農作物の収穫減など、社会基盤を揺るがす甚大な影響を引き起こすとされています。加えて、気温上昇による熱中症や水不足など健康・社会への影響も深刻です。
これを防ぐべく、国際的な枠組みである「パリ協定」のもと、世界中でGHG排出量の実質ゼロを目指す取り組みが加速しました。

企業がGHG削減に取り組むことで期待できる効果

GHG排出量の削減に取り組むことは、企業が今後の法規制や国際的な潮流に対応し、事業リスクを回避するための重要な経営行動となります。また、それだけでなく、経営基盤を強化する多面的なメリットをもたらします。具体的には以下の4つの効果が期待できます。

法規制への対応とリスク回避

パリ協定以降、国内でもサプライチェーン全体への対応要請が強まっています。先行対応により、将来的な罰則や制度変更にともなう事業リスクを回避できます。

投資家からの評価と企業価値向上

企業のESG(環境・社会・ガバナンス)への取り組み姿勢が重視され、ESG投資が普及しています。また、日本ではプライム上場企業などに求められる「TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)」に準拠した情報開示は、投資家から信頼を獲得し、株価や資金調達において有利に働く可能性があります。

ブランド価値の向上と顧客の信頼

近年、人や社会、環境に配慮したものやサービスを購入する消費行動「エシカル消費(倫理的消費)」への関心が高まっています。そのため、GHG排出量削減の取り組みは、環境意識の高い消費者や取引先に対して、信頼性のあるブランドづくりにつながる要素となります。

コストの最適化と経営の安定化

GHG排出量を削減する手段として、省エネルギーや資源効率の改善を実行することで、企業活動の運営コストを着実に低減する効果が期待されます。
例えば、省エネ機器の導入は電力コストの低下につながり、環境配慮型製品の開発は、市場での差別化や売上拡大など長期的な利益率の改善への寄与が期待できます。

GHG排出量の算定方法とScope1・2・3の違い

GHG排出量を正確に把握するには、国際基準である「GHGプロトコル」の理解が欠かせません。算定の全体像と、対象範囲となる各Scopeの定義について解説します。

GHGプロトコルとは?

GHGプロトコル(Greenhouse Gas Protocol)とは、企業や組織がGHG排出量を算定・報告するために定められた国際的な基準です。主な目的は、事業活動から発生する排出量を可視化し、具体的な削減目標の設定や取り組みの促進へとつなげることです。正確な数値を示すことで、現状の課題が浮き彫りになり、根拠に基づいた効果的な削減施策の立案が可能になります。
また、世界共通の基準に基づいた数値であるため、他社との排出量比較も容易になります。同業種、同業態の他社と比較することで、自社の排出実態を相対的に把握することができ、実現可能な削減手段を検討しやすくなります。

各Scopeの定義とそれぞれの違い

GHGプロトコルでは、排出量をその発生源や性質に応じて「Scope1」「Scope2」「Scope3」という3つの範囲に分類しています。これらを総称して「サプライチェーン排出量」と呼びます。

  • Scope1:事業者自らによる直接排出。工場での燃料燃焼や製造工程での排出など。
  • Scope2:他社から供給されたエネルギー(電気、熱・蒸気)の使用にともなう間接排出。
  • Scope3:Scope1・2以外の間接排出。原材料の調達、輸送、製品の使用や廃棄など、自社の活動に関連する他社の排出を指す。

出典:資源エネルギー庁ウェブサイト新しいタブで開く

Scope別GHG排出量算定方法

GHG排出量の算定は、基本的に以下の計算式を用いて行います。

GHG排出量=活動量×排出係数(排出原単位)

「活動量」とは電気の使用量や貨物の輸送量、廃棄物の量など事業活動の規模を指し、「排出係数」は活動量あたりのGHG排出量を表す数値です。排出活動ごとの算定方法や排出係数は環境省のサイト「算定方法・排出係数一覧」で公開されています。

出典:環境省ホームページ新しいタブで開く

Scope1・2では、対象となる燃料や電気の使用量に係数をかけてGHG排出量を算定します。特にScope2の電力に関してGHGプロトコルでは、地域の平均値を用いる「ロケーション基準」と、契約している電力会社やプランの係数を用いる「マーケット基準」の両方での報告が推奨されています。

一方、Scope3は範囲が広いため、環境省では以下の4つのステップでの進め方を紹介しています。

<サプライチェーン排出量算定までの4つのSTEP>

  1. 算定目的の設定:制度への対応など算定目的を明確化する。
  2. 算定対象範囲の確認:どこまでを自社として扱うべきかの範囲(組織的、地理的など)や算定に含める活動の境界について確認する。
  3. Scope3活動の各カテゴリへの分類:サプライチェーンの活動を環境省が提示している15のカテゴリにもれなく分類する。
  4. 各カテゴリの算定:カテゴリごとに基本式を用いて算定する。

企業が取り組むべきGHG削減ステップとScope別の削減ポイント

排出量の可視化ができたら、次はいよいよ具体的な削減アクションです。効率的かつ確実に成果を出すためのステップと、各Scope別のポイントについて紹介します。

GHG排出量削減ステップ

GHG排出量の削減を成功させるには、一過性の活動に終わらせず、事業の活動サイクルに組み込むことが重要です。
まずは「①現状把握」として排出量を可視化します。
次に、国際的な基準も視野に入れた「②削減目標の設定」を行い、理想と現実のギャップからどこに課題があるのかを明確化します。
そのうえで、コスト対効果を見極めながら自社に最適な「③削減施策の検討・実施」へと移ります。
最後に不可欠なのが「④モニタリングと改善」です。定期的に排出量を測定してPDCAサイクルを回し続けることで、削減の精度を継続的に向上させていきます。

Scope別削減ポイント

各Scopeの特性に合わせて、優先順位をつけたアプローチが求められます。

  • Scope1(直接排出):設備の更新や節電・省エネ技術の導入によるエネルギー効率化、社用車のアイドリングストップの徹底や、空調・照明の運用見直しなど電力消費の効率化などが主な削減策です。
  • Scope2(間接排出):最も即効性の高い領域です。再エネ電力プランへの切り替えや、太陽光発電をはじめとした自家発電設備の設置など、再エネの導入により大幅な削減が期待できます。
  • Scope3(そのほかの間接排出):サプライヤーなど、サプライチェーンを構成する外部の会社との連携がカギとなります。物流の効率化やモーダルシフトの検討、さらには製品の設計段階からの環境配慮など、サプライチェーン全体で協力体制を構築することが重要です。

GHG排出量削減に向けた再生可能エネルギーの活用

再エネの活用はScope2の削減に直結し、企業のESG評価や競争力を高めるカギとなります。自社に最適な導入方法を選択することが、環境対応とコスト最適化への近道です。

再生可能エネルギー導入方法の選択肢

再エネ導入には、主に以下の3つの手段があります。

自家消費型太陽光発電

自社のオフィスや工場に太陽光パネルを設置し、発電した電気をそのまま施設で利用します。発電分は電力会社からの電力購入が不要になるため直接的な電気代削減や、災害時の電源確保といったメリットがある反面、発電スペースの確保や保守点検などの継続的な対応が発生する点に注意が必要です。

太陽光発電の詳細は、以下のページをご覧ください。

出光興産の「脱炭素ソリューション(太陽光発電)」を詳しく見る

PPAモデル(オンサイトPPA・オフサイトPPA)

電気を使う企業や自治体などの需要家と、発電事業者または第三者事業者との間で結ばれる長期的な電力売買契約のことを指します。自社の敷地内に発電設備を設置する「オンサイトPPA」と敷地外に発電設備を設置する「オフサイトPPA」とがあります。
発電設備の初期費用が不要なほか、長期契約の場合は将来にわたる再エネ電力の確保ができる点が魅力です。一方で、PPAモデルでは電力消費分を購入する契約であるため、電気料金の直接的な削減とはならない点に注意が必要です。

PPAの詳細は、以下のページをご覧ください。

電力会社の乗り換え(新電力)

電力自由化が広がり、自社にあった電力会社やプランが選べるようになりました。電力会社によっては再エネ由来の電力に加えて、省エネ効果のあるさまざまなサービスを提供しています。それらのサービスを組み合わせることで手軽に再エネや省エネを実現でき、環境配慮とコストの最適化が図れるというメリットがあります。
実際に電力会社を乗り換える際には、解約金が発生するケースもあるなど、解約条件を確認するとともに、自社に最適なプランを比較検討するなど、丁寧に見極めることが重要です。

電力会社乗り換えの詳細は、以下のページをご覧ください。

年間で143.6tのCO2削減に成功!営業所への太陽光発電と再生可能エネルギー電力プラン導入事例

ここでは出光興産が提案する太陽光発電と再エネプラン「プレミアムグリーンプラス(CO2フリー)」の導入によって大幅なコスト削減につながった事例を紹介します。

山﨑株式会社様

宮崎県に本社を置く山﨑株式会社では、営業所の新設を機に太陽光パネルを設置し、そこで作った電力を自己託送して使用する再エネ活用の検討を開始しました。背景には、過去の台風被害による停電で業務が停止した経験があります。これを受けBCP対策として安定した電力供給体制を整えることの重要性が高まっていました。
そこで同社は、太陽光発電と併用して、出光興産が提案する再エネと非化石証書を組み合わせた「プレミアムグリーンプラス(CO2フリー)」という電力メニューを導入しました。
新営業所ではエアコンの増設により電力需要自体は増えたものの、自家消費型太陽光パネルで電力を補うことで、夏季でも全体の電力使用量の約2〜3割を削減することに成功しました。結果として、年間143.6tもの大幅なCO2削減を実現しています。

導入事例の詳細は、以下のページをご覧ください。

GHG排出量(Scope2)削減に向けたニーズに応える出光でんき

出光興産では、多様化するニーズに寄り添いながらGHG排出量削減のためのさまざまなソリューションを用意しています。

出光でんき(特別高圧・高圧)

オフィスビルや工場、病院などの大・中規模施設を運営する法人向けのプランです。通常のスタンダードプランに加えて、低炭素や再エネを希望する事業者向けのプランも複数提供しています。

また、燃料費調整額に市場価格調整項を含まない料金体系によって電気料金の変動を抑制しています。

出光興産では、各地に火力・バイオマス・風力・太陽光・地熱と、さまざまな発電方式の発電所を運営し、安定した電力調達を実現しています。全国(沖縄と離島を除く)の大中小さまざまな規模の施設への供給実績も豊富です。

電力プランの詳細は、以下のページをご覧ください。

出光でんき(特別高圧・高圧)の
プランを詳しく見る

GHG(温室効果ガス)排出量の見える化

脱炭素の第一歩は「現状を正しく把握する」ことです。出光興産のGHG見える化サービスは、Scope3を含んだ排出量を手間なく簡単に算定し、可視化できます。複数の見える化サービスを用意しているので、「自社内のGHG排出量を一元管理したい」「Scope1~3まで全部計算したい」など個別の要望への対応も可能です。GHG排出量が明らかになることで実効性のある削減計画の策定・実行管理へとつなげられます。

GHG見える化サービスの詳細は、以下のページをご覧ください。

出光興産の「GHG見える化サービス」を詳しく見る

脱炭素ソリューション

出光興産は、カーボンニュートラルの実現を目指す事業者の皆様に、CO2排出量の削減や再エネ導入といった脱炭素ソリューションをトータルで提案しています。

再エネ電力プラン、温室効果ガス排出量の見える化、空調省エネ、太陽光発電、車両のEV化などお客さまの目的に合わせた最適なソリューションによって、消費エネルギーの削減を実現します。

出光興産の脱炭素ソリューションについて詳細は、以下のページをご覧ください。

出光興産の「脱炭素ソリューション」を詳しく見る

Scope2削減に直結する、再エネ電力を活用したGHG排出量対策

本記事では、GHGの基本知識からScope別の算定方法、具体的な削減アクションまでを解説しました。GHG排出量の削減は単なる環境対策ではなく、企業の持続可能性を高める重要な経営戦略です。
特にScope2の削減において、再エネ電力への切り替えや太陽光発電の導入は、即効性とコストメリットを兼ね備えた有効な手段となります。算定の複雑さや導入コストに不安を感じる場合は、専門的な知見を持つパートナーの力を借りるのも一つの手です。まずは現状の可視化からはじめ、自社に最適な環境経営への第一歩を踏み出しましょう。

出光でんきだからこそ実現できる、安定した電力調達を提案します。