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工場の電気代の仕組みと内訳を解説!
すぐに役立つ削減方法も紹介
工場では製造設備や空調、照明など多くの電力が必要とされます。近年燃料価格の高騰や電気代の変動が激しく、電気代の負担が気になる方もいるのではないでしょうか。工場の電気代を削減する方法はいくつかあります。自社の詳細な電気代の把握などによって改善策が見えてくるはずです。この記事では、工場の電気代の仕組みや相場について解説し、コストを削減するための具体策や成功事例までをわかりやすく紹介します。
目次
工場の電気代の仕組みと計算方法

工場で使用される電力は家庭用と異なり、標準電圧6kV以上の高圧電力に分類されることがほとんどです。
高圧電力の電気代を計算する際に必要となるのは以下の3つの要素で、これらを合算した金額が1ヵ月の電気代となります。
- 基本料金……使用量に関係なく契約電力で決まり、毎月発生する
- 電力量料金……使用電力量に応じて請求金額が決まる
- 再生可能エネルギー発電促進賦課金(再エネ賦課金)……使用電力量に応じて金額が決まる
※再エネ賦課金:再生可能エネルギーの普及促進を図るための制度のもと、電力会社が再生可能エネルギーを買い取るための費用の一部を利用者(需要家)が負担する費用
工場の電気代が変動する要素
工場の電気代は、3つの要素によって算出されることがわかりましたが、月々の料金が変動するのはどのような要因によるのでしょうか。ここでは工場の電気代が変動する4つの側面について解説します。
使用量によって変化する
使用量の変化は電気代が変動する大きな要因です。特に気温が変化する夏や冬は空調設備の稼働が増えます。また、使用機器や設備の経年劣化も使用量に影響します。さらに、工場においては生産量の増加で稼働時間が延びると月間使用量が増え、請求額も増加します。
契約電力によって変化する
契約電力とは、利用者(需要家)が同時に利用できる最大電力を指し、基本料金に影響します。
工場で使用する高圧電力は、「高圧(実量制)」「高圧(協議制)」「特別高圧」の3種類に分けられ、それぞれ契約電力の決定方法が異なりますが、いずれの場合も30分当たりの最大使用電力量(デマンド値)が重要な要素となります。使用量が大きく増加していなくても、短時間の使用電力量が大幅に増加すると基本料金の上昇につながる可能性があります。
契約電力の詳細については、以下のページをご覧ください。
燃料費調整額によって変化する
電力量料金には、火力発電の燃料である原油や液化天然ガス、石炭の価格変動を反映させる「燃料費調整額」が含まれています。燃料費調整額は、電力会社が燃料費調整制度を踏まえて各々に定めた算出方法で計算しており、月によって変動します。
燃料費調整額の詳細については、以下のページをご覧ください。
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その他の複合的な要素
工場の電気代が変動する要因は他にもあります。例えば、為替変動や需給バランスによる電力市場価格の変動、さらに政府の補助金の減少や制度改定による再エネ賦課金の単価値上げなども変動の要因として挙げられます。
電気代が変動する要因の詳細については、以下のページをご覧ください。
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工場の電気代の相場

工場の電気代が変動する要因について理解したら、次は自社の電気代が「平均と比べて高いのか安いのか」を把握しましょう。工場は24時間稼働や大型機器を抱えている場合が多いため、一般的なオフィスよりも相場は高い傾向にあり、規模が大きくなるほど電気代も比例して上がります。
規模別の目安として、1月の使用量が10,000kWh前後の中小規模工場の場合、電気料金は月数十万円程度、1月の使用量が数万kWh以上の大規模工場では、数百万円かかるケースがあります。(2025年5月時点)
実際は業種や工場内の設備の使用状況、電力会社との契約内容によって費用は異なりますが、「エネルギー消費統計調査」に基づく製造業のエネルギー利用量の目安から、『新電力ネット』にて算出された電気料金の参考値を紹介します。
〈食品製造業〉
- 売上高100万円当たり電力利用額:19,196円
〈化学工業〉
- 売上高100万円当たり電力利用額:15,666円
〈印刷・同関連業〉
- 売上高100万円当たり電力利用額:18,075円
〈電気機械器具製造業〉
- 売上高100万円当たり電力利用額:14,159円
※売上高当たりの電力利用額は30円/kWhにて計算
出典:新電力ネット「製造業のエネルギー利用量の目安」
工場の電気代の一般的な内訳
工場の電気代について相場を理解したら、次は自社の場合どの部分に電気代がかかっているのか、内訳の把握が欠かせません。
一般的には、工場の電気代で大きな割合を占めるものとして「生産設備」「照明」「空調」「その他」の4項目が挙げられます。経済産業省の調査によると、製造業の消費電力(kW)は生産設備が約8割を占め、残りを照明・空調・その他が分け合っています。もし、設備の稼働に対して、電気の使用量に違和感がある場合は、不必要な電力消費が発生している、機器が劣化していることなどが考えられます。
消費電力(kW)の削減については、省エネ対策などで対処できる場合があるため、次章で詳しく解説します。
工場の電気代を削減するためのステップ

ここからは、工場の電気代を削減するための具体策について紹介します。設備面と人の行動面の両方から段階的に施策を進めることが電気代削減の近道です。
電力の見える化
電気代を削減するためには、現状を知る必要があります。そのために、工場の電気使用量をリアルタイムで把握することが重要です。
電気料金明細から使用量の推移を確認することで、季節ごとの利用パターンが把握できます。電気料金の推移では前述の通り使用量以外の影響が含まれてしまうため、適切ではないことに注意しましょう。
また、出光興産が提供する「出光でんき」では、お客様サイトの中で時間別、日別、曜日別の使用量推移グラフを確認できるため、工場の稼働状況に照らして電気の使用状況を確認することができます。
時間別 使用量推移グラフ(見本)

日別 使用量推移グラフ(見本)

曜日別 使用量推移グラフ(見本)

省エネ対策の実施
次のステップとして有効なのは、把握した電気使用状況を踏まえ、自社に合った省エネ対策を実施することです。
手軽にできる対策としては「使用していない照明を消す」「生産設備は稼働時のみ電源を入れる」なども有効で、長い目で見れば電気代の削減につながります。
小まめな節電に加えて、より効果的な対策として、省エネ化が見込める設備の導入が挙げられます。例えば、消費電力(kW)量が大きい設備(コンプレッサー・ポンプ・ファンなど)に省エネ対策を施し、稼働効率を改善することで、年間百万円ほどの電気代削減が実現する可能性もあります。そのほか、照明を白熱灯からLEDに変更するのも有効な対策の一つです。
また、出光興産では空調設備を自動制御するシステムも提供しています。空調設備の交換なしで空調の過剰運転を自動で制御でき、快適性を損ねることなく省エネに取り組むことができます。
空調設備の自動制御については出光興産の「空調省エネ<BEMS>」のページをご覧ください。
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従業員の節電意識の向上
省エネ設備への見直しだけでなく、節電目標やデータを現場と共有し、達成度を「見える化」することで従業員の行動変容を促す対策も重要です。例えば、始業前の空調一斉点検や不要照明オフのチェックリスト作成、月次で成果を表彰する仕組みの導入などがあります。従業員が削減効果を数字で確認できるとモチベーションも維持しやすく、長期的なコスト削減と環境負荷低減の両立につながります。
211万円のコスト削減に成功!食品工場の空調制御システム導入事例
ここでは出光興産が提案するビル用エネルギー管理システムBEMSの導入によって大幅なコスト削減につながった事例を紹介します。
株式会社文明堂東京 浦和工場様
導入の背景には、菓子製造ライン増強にともなって電力使用量が増加傾向であったことがあげられます。また、近年の気候変動を考えると温暖化抑制のためにCO2の削減にも向き合う必要性がありました。
そこで、出光興産が提案する空調制御システム「空調省エネ<BEMS>」を導入し、エネルギー利用の効率化とCO2削減を実現しました。十分な事前調査とフォローアップによって、体感温度の快適性を維持したまま導入効果を出すことに成功しました。
導入事例の詳細は、以下のページをご覧ください。
電気の見える化と節電プログラムで工場の省エネをサポートする出光興産の高圧電力
ここからは出光興産の「電力プラン」「見える化ツール」「節電プログラム」という工場の省エネを後押しするサービスを紹介します。
出光でんき(特別高圧・高圧)
事務所やオフィスビル、学校や病院、工場などで特別高圧、高圧で受電している法人向けの電力プランです。全国で発電所を運営する出光興産だからこその、安定の供給と価格を実現します。
燃料費調整に市場価格調整項を含まない安心の料金体系です。そのため、市場価格連動の料金プランと比較すると、価格が安定しており電気料金の変動を抑えられます。
CO2排出量を抑える低炭素プランもご用意しており、利用者(需要家)ごとの脱炭素ニーズに合わせて4つのプランから選択可能です。
さらに、全国(沖縄と離島を除く)で大小さまざまな規模の施設への供給実績が多数あります。
出光でんき(特別高圧・高圧)のプランを詳しく見る
出光でんき Customer Portal Site(CPS)
自社の電気の使用状況を「見える」化できる、出光興産の電気を利用している利用者(需要家)向けの無料Webサービスです。最新の電気料金について、請求書・明細書をダウンロードできます。
リアルタイムの使用情報についても、30分単位あるいは1日単位の使用量推移、時間帯別・曜日別の使用傾向を確認できます。直近24ヵ月の電気の使用実績のダウンロードや、電気料金・その他詳細情報の表示も可能です。
電気料金や電気の使用状況に関するさまざまなデータをすぐに取得できるため、自社の節電対策を考えるのに役立ちます。
また、デマンド値が設定値を超えた場合にメールで知らせてくれるアラート機能もあります。この機能で使用状況を管理できるため、電気の使い過ぎも抑えられるでしょう。
節電プログラム
節電プログラムは、「出光でんき」を利用している方向けのプログラムです。電力供給が逼迫する時間帯に電気の使用量を削減することで、節電実績に応じたインセンティブが提供されます。
実際の運用形式は以下のとおりです。

- 節電実施日の前営業日または当日に、出光興産より節電実施時間帯をお知らせする電子メールが送信される
- メール内のリンクから参加を承諾する
- 指定時間帯の節電に協力する
- 節電に協力した実績(節電量)に応じた金額が、電気料金から値引きされる
参加の申し込みは「出光興産節電プログラム参加申込書」をダウンロードし、申込書に必要事項を記入のうえ、指定のメールアドレスへ返信します。
実際の電気料金削減効果だけでなく、節電へのモチベーションアップにもつながり、節電の効果を最大限に高められるプログラムです。
出光興産の「節電プログラム」を詳しく見る工場の電気代を見える化して自社に合った対策をはじめよう
工場の電気代は「基本料金」「電力量料金」「再生可能エネルギー発電促進賦課金」の3要素で決まり、使用量・契約電力・燃料費調整額などが毎月の変動要因になります。工場の電気代削減の第一歩は電力の見える化です。データをもとに改善点を見つけ、さまざまな省エネ対策のなかから自社に合った方法を導入することがおすすめです。出光興産では高圧電力プランや見える化ツール、節電プログラムなど多数のソリューションを通じて企業の省エネ対策を支援しています。
出光でんきだからこそ実現できる、安定した電力調達を提案します。