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託送料金とは?
レベニューキャップ制度と企業のコスト最適化をわかりやすく解説
「託送料金」の改定により、電気料金単価の変更案内を受け取ったことがある担当者は少なくないでしょう。託送料金の意味や仕組みの理解が必要になる場面が増え、不安を感じることがあるかもしれません。まずは、託送料金の仕組みと、それに関連する制度を正しく理解し、企業側で取れるコスト最適化の方法を押さえることが重要になります。
本記事では、託送料金の基本構造や関連制度についてわかりやすく解説するとともに、企業が実践できる最適なコスト管理のポイントも紹介します。
目次
託送料金の基本と仕組み

最初に、託送料金の基礎知識について解説します。
託送料金の役割と費用負担の仕組み
託送料金とは、発電所から需要場所まで電気を送る際に使う送配電網の利用料金を指します。送配電網はいわば電気の通り道で、地域の電力会社(一般送配電事業者)が所有しています。託送料金は、小売電気事業者が電気を各家庭や企業に届けるために、電気の通り道を使う際の使用料だといえます。
託送料金は、まず一般契約者から電気代の一部(託送料金相当額)として回収され、小売電気事業者が一般送配電事業者に納める仕組みとなっています。
電力自由化とのつながり
電力自由化以前、電気料金は「総括原価方式」によって決定されていました。総括原価方式は、地域の電力会社が電力供給に必要なあらゆる費用と適正な利益を合算し、料金を設定する方法です。
その後、電力自由化によって新電力が参入すると、各新電力の費用や利益と、法令などにより算定される費用の合計によって料金が定められるようになりました。事業者の裁量で算定される費用としては、電気を調達する調達費用や人件費などの運営費用が含まれ、法令などにより算定される費目としては「託送料金」や「再エネ賦課金」などが挙げられます。
電力自由化の詳細は、以下のページをご覧ください。
レベニューキャップ制度の概要
レベニューキャップ制度は、一般送配電事業者が、送配電網の整備・維持に必要な投資の確保とコスト効率化の両立を目的に導入されました。これらの両立によって、将来の送配電網を維持・拡大し、消費者への安定した電力供給と再生可能エネルギー(再エネ)拡大への貢献を目指しています。この章では、制度の概要を説明します。
レベニューキャップ制度の導入背景
レベニューキャップ制度導入の背景には、主に以下の2つがあります。
- 電力インフラの更新・強化の必要性
高度経済成長期に整備された多くの送配電設備の老朽化が進み、計画的な更新投資が必要になっています。また、カーボンニュートラル実現に向け普及が進む再エネを、地域をまたいで需要地へ送電することや、データセンター・半導体工場などの大規模需要が見込まれること、また自然災害への備えなどのため、送配電設備の増強を進める必要があります。 - コスト効率化による維持管理コストの抑制
前述のとおり、送配電設備の更新や増強で大きな投資が必要とされるなか、持続可能な安定供給と託送料金の抑制を両立するためには、送配電の整備・維持における効率化の促進も重要となっています。
レベニューキャップ制度のメリット・デメリット
レベニューキャップ制度のメリットとデメリットを確認しておきましょう。
メリット
- コスト削減による運営効率の向上
レベニューキャップ制度では、インセンティブによってコスト効率化を促す仕組みを取り入れています。そのため、一般送配電事業者は、エネルギー効率の高い設備の導入や運用の最適化など、無駄なコストを削減するようになります。その結果、全体の運営効率向上が加速することが期待できます。 - 電力供給の安定
レベニューキャップ制度では、一般送配電事業者は5年間の計画に基づいて設備投資を行うため、必要な資金を計画的に確保できます。その結果、停電リスクの低減など安定した電力供給につながります。 - 需要家、消費者のコスト最適化
一般送配電事業者のコスト効率化が促進され、託送料金の抑制につながり、長期的に見れば需要家や消費者に還元されることが期待されます。
デメリット
- 短期的な値上がり
一般送配電事業者は、再生可能エネルギーの普及や電力需要の増加にともない、送配電網設備の更新や増強に必要な資金を確保しなければいけない状況にあります。そのため、短期的にみると託送料金の見直しや値上げにつながる可能性があります。
託送料金の内訳と計算方法
次に、託送料金に含まれる具体的な項目と計算方法について解説します。
託送料金の費用構成
託送料金は、税金や送電設備の修繕・更新にかかる費用などで構成されています。そのため、託送料金は税率の変動や設備の維持管理に要するコストの増減によって影響を受けます。
託送料金の算定方法
託送料金は、一般送配電事業者が定める託送料金単価に基づき計算されます。
託送料金の算定式および託送料金単価は以下のとおりです。
<託送料金の算定式>
託送料金=
契約電力(kW)×託送料金単価[基本料金分](円/kW)×力率割引+電力使用量(kWh)×託送料金単価[電力量料金](円/kWh)
<託送料金単価>
託送料金の算定に用いる単価※は、各地域を管轄する一般送配電事業者ごとに決められています。
※一般送配電事業者では、「託送料金」「接続送電サービス料金」等と表記します。
地域別 高圧プランの託送料金単価(税込)一例 ※2026年1月時点
| 地域 | 託送料金単価[基本料金] | 託送料金単価[電力量料金] |
|---|---|---|
| 北海道 | 842.6 | 2.28 |
| 東北 | 728.2 | 2.15 |
| 東京 | 653.87 | 1.84 |
| 中部 | 467.50 | 2.21 |
| 北陸 | 748.00 | 1.76 |
| 関西 | 663.30 | 2.29 |
| 中国 | 658.90 | 2.43 |
| 四国 | 712.80 | 2.01 |
| 九州 | 553.28 | 2.61 |
※高圧標準接続送電サービスの場合。託送料金単価は、電気種別によって異なります。
託送料金によるコストインパクトシミュレーション

託送料金は電力コストの大きな割合を占めており、電力・ガス取引監視等委員会の公表では電気料金の30%を託送料金が占めているとされています。託送料金のわずかな改定でも数十万円から数百万円の影響になることもあります。
以下、上記で示した託送料金単価を用いて、負荷率30%の場合の年間託送料金をシミュレーションしました。
※負荷率とは、契約電力のうち実際に使用した電力を示す割合。
自社の負担額を計算する際には、以下のように計算することが可能です。
契約種別:東京電力エリア 高圧契約
契約電力:100kW 負荷率:30% 年間使用電力量:262,800kWh
現在の年間託送料金:100(kW)×653.87(円/kW)×力率割引 0.85×12か月+262,800(kWh)×1.84(円/kWh)=1,150,500(円/年)
※実際には託送料金の改定を受けて各電力会社が電気料金を見直すため、上記の限りではありません。
託送料金を踏まえた企業の電力コスト最適化

託送料金を削減することはできませんが、電力の調達方法や利用方法を見直すことで、コストの最適化が可能になります。この章では、企業の電力コスト最適化の方法を解説します。
電力契約の見直し
現在の電力会社やプランを見直すことで、より自社の消費パターンに合った料金プランを選ぶことができます。また、再生可能エネルギーの導入や省エネサービスなど、自社に合ったサービスを組み合わせるのもおすすめです。
電力会社乗り換えの詳細は、以下のページをご覧ください。
デマンドレスポンスの活用
デマンドレスポンスは電力の需要と供給のバランスを調整するために、利用者(需要家)が電気の使用量を制御する仕組みです。この仕組みを上手に活用することで、電気代の最適化が見込めます。また、契約している電力会社からの節電要請に合わせて電力使用量を調整する「インセンティブ型」の場合、節電達成度合いに応じたインセンティブを受け取ることができます。
デマンドレスポンスの詳細は、以下のページをご覧ください。
Check!
自家消費型太陽光発電の検討
自家消費型太陽光発電とは、発電した電気を自社で利用する太陽光発電モデルです。自社の敷地内に発電設備を設置し、発電した電力を同一施設内で消費することで、送電設備を利用することが無いため託送料金を支払うことなく電力を調達することができます。
太陽光発電の詳細は、以下のページをご覧ください。
出光興産の「脱炭素ソリューション(太陽光発電)」を詳しく見るエネルギーマネジメントシステム(EMS)の導入
エネルギーマネジメントシステム(EMS)とは、施設内で使用される電力、ガス、熱などのエネルギー消費量を一元的に把握し、無駄を減らすことを目的とした管理システムを指します。不要な照明や空調の稼働を自動制御して、人的管理に頼らずに省エネを実現できます。また、省エネによるコストの最適化だけでなく、温室効果ガス排出量の把握や削減効果の「見える化」が可能になるのもメリットです。
EMSの詳細は、以下のページをご覧ください。
さまざまなニーズに応える出光興産の法人向けエネルギーサービス
ここからは、企業の省エネや最適な電気料金を実現する出光興産のサービスを紹介します。
出光でんき(特別高圧・高圧)
オフィスビルや工場、病院などの大・中規模施設を運営する法人向けのプランです。通常のスタンダードプランに加えて、脱炭素に取り組む事業者向けのプランも複数提供しています。
また、燃料費調整額に市場価格調整項を含まない料金体系によって電気料金の変動を抑制しています。
出光興産では、各地に火力・バイオマス・風力・太陽光・地熱と、さまざまな発電方式の発電所を運営し、安定した電力調達を実現しています。全国(沖縄と離島を除く)の大中小さまざまな規模の施設への供給実績も豊富です。
電力プランの詳細は、以下のページをご覧ください。
出光でんき(特別高圧・高圧)のプランを詳しく見る
idemitsuでんき(低圧)
idemitsuでんきの料金プランは、「Sプラン(従量電灯プラン)」と「低圧電力プラン(動力プラン)」の2種類です。
「Sプラン」は、照明器具や小型の電化製品など電灯用のプラン、「低圧電力プラン」は、業務用のエアコンや冷蔵庫、モーターなど、動力用のプランです。
加えて、環境に優しくエコな電気に切り替えられる再エネオプションも提供しています。
各電力プランの詳細は、以下のページをご覧ください。
idemitsuでんき(低圧)のプランを詳しく見る
電力プランの見直しで電気料金の変動リスクに備えよう
電気の使用量が大きい企業では電気料金単価の変動の影響は大きく、対策の必要性を感じている担当者は多いはずです。託送料金の仕組みやレベニューキャップ制度について理解しておくことで、電気のコストが変動するリスクを認識し、対策を検討することができます。
託送料金そのものを回避することはできませんが、自社にふさわしい料金体系の選択や、電気料金全体の変動抑制のために企業が取り組める方法として着手しやすいのが「電力会社や料金プランの見直し」です。
電気料金の最適化はもちろん、脱炭素への取り組みを進めたり、料金変動を抑えて年間コストの見通しを立てやすくしたりと、多くのメリットが期待できます。
出光でんきだからこそ実現できる、安定した電力調達を提案します。


